医療産業界に特化した臨床研究教育プログラム(iCLiP®: Clinical investigator's Program for industries)は、製薬企業・医療機器メーカーなどに勤務する社会人を対象に、遠隔学習と参加型授業で臨床研究に必要な知識、スキルを学ぶプログラムです。
このプログラムは、京都大学医学部附属病院 臨床研究教育・研修部「医療者のための臨床研究学習プログラム*(CLiP: CLinician investigator's Program)」のコンテンツを基盤としつつ、データベース研究、医療技術評価(HTA: Health Technology Assessment)など医療産業界に近年求められるようになったコンテンツにも焦点を当てた構成となっています。
iCLiPは、2016年に初代プログラム・ディレクター福原俊一教授によって開講されました。福原教授は、長年にわたる臨床研究教育の豊富な経験をもとに、2013年に京大病院およびその関係病院に勤務する医療者を対象とした臨床研究の方法論(特に研究デザイン、観察研究)を教育するコースワーク「医療者のための臨床研究学習プログラム(CLiP)」を立ち上げ、山本洋介准教授らとともに、遠隔学習とワークショップを統合した臨床研究教育を実施してまいりました。3年の開講期間でのベ1,500名以上が受講、高い満足度を得た実績があります。2019年1月からは、山本洋介教授が2代目プログラム・ディレクターに就任し、紙谷司講師・佐々木彰講師・山崎大講師らとともに教育プログラムの質向上に継続して取り組んでいます。
*医療者のための臨床研究学習プログラム(CLiP):厚生労働省 臨床研究中核病院整備事業における臨床研究教育の一環として、平成25年に開講した臨床研究のリテラシーを学ぶためのプログラムで、京都大学大学院医学研究科 医療疫学分野を中心に企画・提供されました。現在は、京都大学医学部附属病院 臨床研究教育・研修部が提供しています。平成28年11月時点でのべ1,500名超の医療者が受講し、高い評価を得ております。詳細はCLiPウェプサイトをご参照ください。
本コースの開講にあたっては、医療産業界における臨床研究に対するアンメット・ニーズの存在、またそのニーズを満たすような社会人向けのコース設立を望む声が京都大学に多数寄せられていたことが背景にあります。
医療産業界の方から寄せられた声の一例をご紹介します。
「統計を勉強する機会はあるが、臨床研究デザインを基礎から学ぶ機会がない」
「観察研究の手法を学べるプログラムが欲しい」
「Real World Dataを用いたデータベース研究の手法を学びたい」
「医療技術評価(HTA)に関して学びたい、実践的な学習の機会が欲しい」
「実際の論文執筆に関して、文献検索や論文執筆のノウハウを知りたい」
これらの満たされないニーズを満たすプログラムが、まさにこのiCLiP®なのです。
「今回のプログラムを通して、臨床研究に関する知識を一度に学習することができ、今まで点、点と必要な時に勉強していたことがつながりました」
「今まで、介入研究ばかりに携わっており、観察研究についての考え方や知識について乏しかったですが、体系的に学ぶことができ、非常に有意義でした」
「包括的に学べたことが非常に良かったです。これまでの臨床研究の時代的背景からHTAといった最新の話題まで、全体像がわかりました」
「講師の先生方が、実際の例を示しながら説明をしてくださる点がとても理解しやすいです。また、資料がダウンロードできるため、何度も確認できとてもありがたいです。質問にご対応いただける点は、このiCLiP®の最大のメリットではないかと考えています」
「臨床研究に関して大学院のレベルで体系立てて学べる環境を提供していただけるのは大変ありがたいです」
製薬企業・医療機器メーカーに所属し、臨床研究の知識を求められている方。自ら臨床研究に興味を持ち、継続的に関わる志を持った方を歓迎します。
※対象となる職種の例:臨床開発・メディカルアフェアーズ・アウトカムリサーチ・マーケットアクセス・医療技術評価(HTA)・ライフサイクルマネジメント(LCM)・市販後調査(PMS)・製品戦略などの業務を担当されている方、およびメディカルサイエンスリエゾン(MSL)の方。
概要:臨床研究のコア・コンピテンシー習得を目的としたコース
対象者:臨床における各領域のKey Opinion Leaderや専門家に接するなど、臨床研院のコア・コンビテンシーが必要とされる医療産業界の社会人
学習達成目標:臨床研究デザインの観点から既存の臨床研究を批判的に吟味できる 臨床研究に関して、正しい知識に基づき適切に専門家に相談できる
期間:1年(遠隔講義は5~8月に集中的に履修可能:期間は応相談)
※コア科目を中心に履修、遠隔40時間程度+実習20時間程度(予定)
概要:企業において、臨床研究を実施するために必要な実践的知識の習得を目的としたコース
対象者:各領域で専門性を持って研究を立案し実施する医療産業界の社会人
達成目標:自身で臨床研究計画を立案できる 自身でReal World Dataを用いた解析を実施することができる
期間:1年(遠隔講義は5~10月に集中的に履修可能、後半は解析実習など実践的な学習を中心とする:期間は応相談)
※コア科目に加え中級科目に履修、遠隔70時間程度+実習40時間程度(予定)
※印の科目は、受講料や単位の対象ではありません。